厄介なAGA

AGAは、治療をせずにそのままにしておくと、症状は進行するばかりです。そう、このAGAは進行性の病気なのです。ただし、すでにお話ししたとおり、素早く適切に治療を始めれば、かなりの量の髪の毛を再度手に入れることは可能なので、あきらめずに治療に取りかかりましょう。

厄介なAGA

病気が進行するスピードに関しては個人差があります。ここで意外に厄介なのが、症状がゆっくり進んでいく場合です。ゆっくりと症状が進むために、その悪化に気づけないのです。特に、鏡に映らない頭頂部は症状が進行しやすいので、抜け毛が多いなと感じたら注意する必要があります。
AGAの症状は、その進み方に特徴があります。ひとつは頭頂部を中心に後頭部にかけて髪の毛が薄くなる「O型」。もうひとつは、生え際部分からM字型に後退していくM型です。このようにAGAの進行はとても特徴的なので、このような髪の毛の動きに気づいたら、すぐに専門のクリニックに相談したほうがいいでしょう。

AGAの治療法

AGAの症状を自分ひとりの力で良化させるのは現実的ではありません。市販の塗り薬はありますが、たとえそれが合っていたとしても症状を抑えているだけです。なんらかの異なる病気が原因である可能性も否定はできませんので、異常を感じたらすぐに専門医に相談しましょう。
AGAの治療法ですが、現在は非常に有効な成分がいくつかあるので、これらを使って行うのが一般的です。
プロペシアに代表されるフィナステリドは、AGAの治療においては長く使われている、5-α還元酵素の活動を阻害する成分です。すでに後発医薬品も登場しているので、比較的リーズナブルなお値段で処方が可能です。Ⅱ型の5-α還元酵素のみに作用します。
ザガーロに代表されるデュタステリドも、フィナステリド(プロペシア)同様、5-α還元酵素の活動を阻害する成分です。こちらはⅡ型のほかにⅠ型の5-α還元酵素にも効果があることから、医師が検査の結果を見て、デュタステリド(ザガーロ)を使うかフィナステリド(プロペシア)を使うか判断するのが普通です。薬効が保たれる時間もデュタステリド(ザガーロ)のほうが長いようです。
どちらも比較的安全性の高い成分ですが、勃起不全などの性機能に関する副作用が低い確率ではありますが報告されています。また、肝機能に問題を抱えている方には処方できません。
ミノキシジルは、上記2種類とは異なり、頭皮に張り巡らされている毛細血管を広げることで髪の毛が育ちやすい環境を作り、症状の改善へとつなげる成分です。ミノキシジルは、5-α還元酵素を阻害する成分ではないため、外用薬の場合はフィナステリド(プロペシア)やデュタステリド(ザガーロ)と併用することも可能です。注意すべきなのは内服するタイプのミノキシジルです。こちらは取り扱いが難しいため、処方していないクリニックもあります。ミノキシジルは、元はといえば降圧剤。そのため、血管や心臓に関わる副作用が出ることもあるので、服用を希望する場合は、まずは専門医のいるクリニックでカウンセリングを受けてみましょう。

AGAを完治させることは、現在の医療では残念ながら不可能です。しかし、症状がまだ軽い内に治療に取りかかれば、症状の進行を抑えながら髪の毛の量を増やしていくことは、現在の医療でも可能になっています。多くの方が効果を体感できる治療なので、薄毛や抜け毛が増えてきたと感じたら、すぐにカウンセリングを受けるなど、「行動」することが大切です。

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